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平成30年度の住宅市場の動向について

2019-09-15
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国土交通省の住宅局がおこなった住宅市場の動向調査の結果が出ましたのでご紹介します。

1. 調査の概要

1.1 調査の目的

本調査は、住み替え・建て替え前後の住宅や、その住居に居住する世帯の状況及び住宅取得に係る資金調達の状況等について把握し、今後の住宅政策の企画立案の基礎資料と
することを目的として、毎年実施しています。

なお、本調査は平成13年度より実施しており、平成30年度の調査は18回目にあたります。

 

1.2 調査の対象

平成 29 年度中(平成 29 年 4 月~平成 30 年 3 月)に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象とし、次に挙げる住宅の種類別に調査を行った。

注文住宅、既存(中古)住宅、については全国を、分譲住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅については三大都市圏を対象とした。

 

2. 結果の概要

2.1 住み替え・建て替え・リフォームに関する事項

2.1.1 住み替えに関する意思決定

(1) 比較検討した住宅

住宅取得にあたっては、同じ住宅の種類※同士で比較検討した世帯が最も多い。

同じ住宅の種類との比較検討を除くと、注文住宅取得世帯は「分譲戸建住宅」と、分譲戸建住宅取得世帯は「注文住宅」と、中古戸建住宅取得世帯は「分譲戸建住宅」と比較検討している世帯が多い。

また、分譲マンション取得世帯は「中古マンション」と、中古マンション取得世帯は「分譲マンション」と比較検討している世帯が多い。

 

(2) 住宅の選択理由

注文住宅取得世帯では、「信頼できる住宅メーカーだったから」が 50.7%で最も多い。

分譲戸建住宅取得世帯では、「一戸建てだから/マンションだったから」が54.1%で最も多い。

分譲マンション、中古マンション取得世帯では、「住宅の立地環境が良かったから」が最も多く、それぞれ 72.3%、60.5%。中古戸建住宅、民間賃貸住宅入居世帯では、「価格/家賃が適切だったから」が最も多く、それぞれ 59.7%、50.3%。

 

(3) 設備等に関する選択理由

住宅の選択理由となった設備等については、注文住宅取得世帯では「高気密・高断熱住宅だから」、「住宅のデザインが気に入ったから」が多く、他の住宅取得世帯
では「間取り・部屋数が適当だから」が最も多い。

 

(4) 新築か中古かの選択理由

注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション取得世帯が既存(中古)住宅を選ばなかった理由は、「新築の方が気持ち良いから」が最も多い。

他方、中古戸建住宅、中古マンション取得世帯が既存(中古)住宅を選んだ理由は、「予算的にみて既存(中古)住宅が手頃だったから」が最も多く、次いで、「新築住宅にこだわらなかった」が続く。

 

(5) 住宅取得時に経済的要因が与えた影響度

住宅取得にあたって、「景気の先行き感」、「家計収入の見通し」、「地価/住宅の価格相場」、「住宅取得時の税制等の行政施策」、「従前住宅の売却価格」及び「金利動向」といった経済的要因がどう影響したかについて調査を行った。

上記 6 要因に関する 5 段階評価のそれぞれ「大きなプラス影響」に 1、「多少のプラス影響」に 0.75、「影響なし」に 0.5、「多少のマイナス影響」に 0.25、「大きなマイナス影響」に 0 の点数を与え、この点数を 5 段階評価の構成比で加重平均して各要因の影響を指標化した。

「平均」※でみると、今回の調査(平成 29 年度中の取得)では、指標値が 0.56とプラスに影響している。住宅の種類別にみると、いずれの住宅においてもプラスに影響し、分譲戸建住宅と分譲マンションで 0.57 と最も高い。

前回の調査(平成28 年度中の取得)と比べると、「従前住宅の売却価格」は、プラスに影響し、「地下/住宅の価格相場」は、マイナスに影響した。

また、要因別にみると、「金利動向」が 0.61 と最も高い。

 

2.1.2 リフォームに関する意思決定

(1) リフォームの動機

リフォームの動機は、「住宅がいたんだり汚れたりしていた」が 43.5%で最も多く、次いで「台所・浴室・給湯器などの設備が不十分だった」が 24.1%、「家を長持ちさせるため」が 23.6%。

(2) リフォームの内容

リフォームの内容をみると、「住宅内の設備の改善・変更」が 38.9%で最も多く、次いで「内装の模様替えなど」が 32.4%、「住宅外の改善・変更」が 31.3%。

 

2.1.3 施工者・物件に関する情報収集方法

施工者・物件に関する情報収集方法についてみると、注文住宅取得世帯では「住宅展示場で」が最も多い。分譲戸建住宅取得世帯では「不動産業者で」、分譲マンション取得世帯では「インターネットで」が最も多い。

既存(中古)住宅取得世帯では、戸建・マンションともに「不動産業者で」が最も多く、民間賃貸住宅入居世帯でも「不動産業者で」が最も多い。

リフォーム実施世帯では、「以前からつきあいのあった業者」が最も多い。

 

2.1.4 定期借家制度

(1) 定期借家制度の認知

民間賃貸住宅に住み替えた世帯における定期借家制度の認知度をみると、「知っている」と「名前だけは知っている」の合計は 38.3%。「知らない」は 61.1%。

(2) 定期借家制度の利用

民間賃貸住宅に住み替えた世帯の賃貸契約の種類をみると、定期借家制度利用の借家は 1.5%。

 

2.1.5 建築時期

既存(中古)住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅について、それぞれ取得、入居、リフォームした住宅の建築時期を調査した。

中古戸建住宅、中古マンション、リフォーム住宅では、建築時期が「平成 7 年~平成 16 年」の物件が 3 割程度で最も多く、築後年数の平均は、中古戸建住宅が20.4 年、中古マンションが 23.5 年、リフォーム住宅が 27.2 年。

民間賃貸住宅では、建築時期が「平成 27 年以降」、が最も多い。築後年数の平均は 17.2 年。

 

2.1.6 住宅取得回数

住宅取得世帯の住宅取得回数をみると、全ての住宅の種類において、「今回が初めて」の割合が多く、注文住宅、分譲戸建住宅では約 8 割、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンションでは 7 割以上。

 

2.2 住み替え・建て替え・リフォーム前後の住宅に関する事項

2.2.1 住み替え前の住宅

(1) 住み替え前の住宅の種類

全ての住宅の種類において、住み替え前の住宅は「民間賃貸住宅」である割合が最も多い。

 

(2) 住み替え前の住宅の処分方法

従前、持家※に居住していた住み替え世帯における従前住宅の処分方法は、「売却した」が最も多い。

従前住宅の建て方別に比較すると、注文住宅、分譲住宅、中古住宅の取得世帯では、従前住宅が集合住宅であったほうが「売却した」割合が高い。

 

2.2.2 住み替え・建て替え・リフォーム前後の住宅の比較

(1) 延べ床面積

従前住宅との比較における延べ床面積の変化をみると、注文住宅(新築)、分譲戸建住宅、中古戸建住宅への住み替えにおいて、大幅に広くなっている。

注文住宅(建て替え)、分譲マンション、中古マンションへの住み替え、リフォーム住宅では大きな増減はなく、民間賃貸住宅への住み替えでは減少している。

 

(2) 高齢者対応設備

1) 高齢者対応設備

高齢者対応設備である「手すり」、「段差のない室内」、「浴室・トイレの暖房設備」、「廊下などが車椅子で通行可能な幅」及び「全ての設備」の整備率は、注文住宅(建
て替え)が最も高い。

2 位以下をみると、「手すり」の整備率は、注文住宅(新築)で整備率が高く、「段差のない室内」、「廊下などが車椅子で通行可能な幅」、「浴室・トイレの暖房設備」は、分譲マンションで整備率が高い。

 

2) 高齢者の有無※別の整備状況

分譲マンションの「段差のない室内」は高齢者無の方が比率が高い。「すべての設備」は民間賃貸住宅を除く住宅で、高齢者がいる世帯の方が整備率が高い。

「浴室・トイレの暖房設備」は注文住宅と分譲戸建て住宅、分譲マンション、リフォーム住宅で、高齢者がいる世帯の整備率が高い。

 

(3) 省エネ設備

省エネ設備が整備されている割合について比較すると、「二重サッシ又は複層ガラスの窓」は、注文住宅おける整備率が高く 81.6%。分譲戸建住宅で 54.7%、分譲マンションで 46.8%。「太陽光発電装置」の整備率は注文住宅で 41.3%、分譲戸建住宅では 13.1%、中古戸建住宅では 6.9%。

 

(4) 通勤時間

通勤時間は、中古マンションを取得した世帯および民間賃貸住宅に入居した世帯では減少。

注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅を取得した世帯では増加。

 

(5) 住み替え前の居住地

住み替え前後の居住地をみると、分譲マンション、民間賃貸住宅を除く種類の住
宅では「同一市区町村内」での住み替えが多い。

 

2.3 世帯に関する事項

2.3.1 世帯主の年齢

(1) 世帯主の年齢

世帯主の年齢をみると、注文住宅(新築)、分譲戸建住宅、分譲マンション、中古戸建住宅では 30 歳代が最も多く、注文住宅(建て替え)とリフォーム住宅では「60 歳以上」が 5 割以上で最も多い。

中古マンションでは「40 歳代」が 3 割程度、民間賃貸住宅では「30 歳未満」が 3 割程度。

平均年齢の推移をみると、分譲マンション、中古マンション以外の住宅は昨年度より高い。

 

(2) 一次取得・二次取得別の世帯主の年齢

世帯主の年齢を一次取得・二次取得※別にみると、一次取得者は、いずれの種類の住宅についても「30 歳代」が最も多い。

二次取得者は、注文住宅、分譲マンション、中古戸建住宅、中古マンションにおいて「60 歳以上」が最も多く、分譲戸建住宅では「40 歳代」が最も多い。

 

2.3.2 居住人数

(1) 居住人数

1 世帯あたりの平均居住人数は、注文住宅、分譲戸建住宅では「4 人」が、分譲マンションでは、「3 人」が、中古戸建住宅では「3 人」または「4 人」が、中古マンション及びリフォーム住宅では「2 人」が、民間賃貸住宅では「1 人」が、それぞれ最も多い。

 

(2) 高齢者の有無

高齢者がいる世帯の割合は、リフォーム住宅において 54.2%と最も高く、次いで中古戸建住宅の 22.8%が続く。

 

(3) 高齢者がいる世帯の内訳

高齢者がいる世帯における「高齢者のみの世帯」の割合は、分譲マンションと民間賃貸住宅において高く、分譲マンションでは 5 割を超える。

 

2.3.3 世帯年収

(1) 世帯年収

世帯年収(税込み)は分譲マンションが最も高く、平均で 840 万円。次いで注文住宅(三大都市圏)が平均 779 万円。民間賃貸住宅が最も低く、平均 508 万円。

 

(2) 一次取得・二次取得別の世帯年収

住宅取得世帯について、世帯年収を一次取得・二次取得別にみると、第一次取得者では分譲マンション、第二次取得者では分譲戸建住宅が最も高い。

全ての種類の住宅において、一次取得者より二次取得者の方が世帯年収が高い。

 

2.4 資金調達に関する事項

2.4.1 購入資金、リフォーム資金

(1) 購入資金、リフォーム資金

購入資金は、土地を購入した注文住宅新築世帯で平均 3,971 万円、建て替え世帯で平均 3,491 万円、分譲戸建住宅と分譲マンションの取得世帯でそれぞれ平均3,933 万円、4,577 万円、中古戸建住宅と中古マンションの取得世帯でそれぞれ平均 2,814 万円、2,819 万円。また、リフォーム資金は平均 241 万円。

自己資金比率をみると、土地を購入した注文住宅新築世帯で 31.2%、建て替え世帯で 64.2%、分譲戸建住宅と分譲マンションの取得世帯がそれぞれ 21.8%と 34.1%、中古戸建住宅と中古マンションの取得世帯でそれぞれ 36.5%と 42.2%。

また、リフォーム住宅世帯では 84.5%。

 

(2) 一次取得・二次取得別の購入資金

購入資金を一次取得・二次取得別にみると、分譲マンションを除き、二次取得者は、一次取得者に比べて購入資金が多い。

自己資金比率は一次取得者に比べて二次取得別が高い。

 

2.4.2 住宅ローン

(1) 住宅ローンの有無

住宅ローン(住宅金融支援機構提携ローン(フラット 35)、民間金融機関、住宅金融支援機構からの直接融資、その他公的機関や勤務先からの借入金など)を有する世帯の割合は、注文住宅(新築)取得世帯が 79.9%、注文住宅(建て替え)取得世帯が 43.6%、分譲戸建住宅と分譲マンション取得世帯がそれぞれ 72.6%と 68.1%。中古戸建住宅と中古マンション取得世帯でそれぞれ 54.1%と 55.2%。

 

(2) 住宅ローン減税制度

住宅ローンを有する世帯のうち、住宅ローン減税制度の適用を受ける割合は、受ける予定も含め、注文住宅取得世帯で 89.5%、分譲戸建住宅と分譲マンションの取得世帯でそれぞれ 95.4%と 82.4%、中古戸建住宅と中古マンションの取得世帯でそれぞれ 72.6%と 68.3%。

 

(3) 返済期間

住宅取得借入金の返済期間は、注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション取得世帯では 30 年を超え、中古戸建住宅、中古マンションの取得世帯では 30 年未満。

 

(4) 年間返済額

住宅ローンがある世帯の年間返済額は、分譲マンションの取得世帯で最も高く130.9 万円。注文住宅、分譲戸建住宅、中古戸建住宅、中古マンションの取得世帯でも 100 万円を超える。

世帯年収に占める返済負担率は、最も高い分譲戸建て住宅で 17.5%、最も低いのは中古マンションで 14.1%。

 

(5) 金利タイプ

民間金融機関からの借入がある世帯について、借入金の金利タイプをみると、平成 23 年度以降は「変動金利型」が 6 割前後。