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家を建てる時の土地のルールを知る

2019-12-08
注文住宅イメージ

これから土地を探して家を建てたいという注文住宅ユーザーへお届けするコラム。

建物を建てる上で、その土地ごとに建てられる建物は決まっており、よく調べておかないと損をすることも。

また、家が建てられない、規制が厳しい土地もあるので、土地購入の際には十分なリサーチが必要だ。

 

土地にはいろんな基本ルールがある

住環境を維持したり、防災や日照などあらゆる視点から、土地にはさまざまな基本ルールが定められています。

そのために、自分の土地とはいえ建てられる家の種類や大きさにも影響が出ます。

まずはそのことを知っておくことが大切です。

 

土地には使用ルールが決められている

実は、自分の土地だからといってどんな建物も好きなように建てられるというわけではありません。

全ての土地には、用途や大きさなどこまかく規定が設けられており、そのルールに従って建物・家を建てていかなければなりません。

土地から購入する際には、ぜひこの土地ごとに定められたルールをしっかり知ることが重要です。

 

建物が建てられない土地もある

どんな土地にも日本中、なにかしらの地域分けがされています。

農業地域や森林地域、自然公園地域などがそれにあたります。

家を建てる場合の地域は都市地域といい、その都市地域は都市計画区域という風に定義されています。

都市計画区域では、家などどんどん積極的に建てて市街化していきましょうという「市街化区域」と、逆に家など建てる等を規制して市街化を防ぐ「市街化調整区域」の二つに分類されます。

市街化調整区域では原則、家を建てたりすることなど建築はできず、乱開発を防ぐ狙いがあります。

通常、みなさんが住まわれているのは市街化区域といって良いでしょう。

 

この市街化区域には12種類の「用途地域」というものが定められています。

それぞれの用途地域により建てられる建物の用途や大きさなどが定められています。

なお、用途地域とは以下の12種類となります。

・第1種低層住居専用地域

低層の住宅のための良好な住居環境を保護するため定める地域。

住宅のほか小中学校、銭湯、併用店舗が建築可能。

・第2種低層住居専用地域

主として低層の住宅の良好な住居環境を保護するため定める地域。

住宅のほか小中学校、銭湯、併用店舗、2階以下・150㎡以下の店舗、飲食店などが建築可能。

・第1種中高層住居専用地域

中高層の住宅の良好な住居環境を保護するために定める地域。

2階以下・500㎡以下の店舗、飲食店の建築は可能。

劇場、ホテル、遊技場、工場、倉庫などは建築不可。

・第2種中高層住居専用地域

主として中高層の住宅の良好な住居環境を保護するために定める地域。

2階以下・1500㎡以下の店舗、飲食店、オフィスの建築は可能。

劇場、ホテル、遊技場、工場、倉庫などは建築不可。

・第1種住居地域

住居の環境を保護するため定める地域。

3000㎡以下の店舗、飲食店、オフィスの建築は可能。

劇場、ホテル、遊技場、工場、倉庫などは建築不可。

・第2種住居地域

主として住居の環境を保護するため定める地域。

劇場、風俗、大・中工場、倉庫などは建築不可。

・準住居地域

道路の沿道における利便と増進を図りつつ、これと調和した住宅の環境を保護するために定める地域。

200㎡未満の劇場は建築が可能。

風俗、大・中工場などは建築が不可。

・近隣商業地域

近隣の住民への日用品供給を主たる内容とする商業、その他の業務の利便を増進するため定める地域。

200㎡未満の劇場は建築が可能。

風俗、大・中工場などは建築が不可。

・商業地域

商業、その他の業務の利便を増進するため定める地域。

大・中工場、火災危険性、公害発生などのおそれがある工場のみ建築が不可。

・準工業地域

環境の悪化をもたらすおそれのない工場の利便を増進するため定める地域。

大工場、火災危険性、公害発生などのおそれがある工場のみ建築が不可。

・工業地域

工場の利便を増進するため定める地域。

学校、ホテル、病院、劇場、風俗の建築は不可。

・工業専用地域

工場の利便を増進するため定める地域。

一般の住宅、学校、病院、飲食店などの建築は不可。

 

防火のためのルールもある

土地には建物の用途や大きさのルールがあることはお伝えしてきました。

しかし、土地に関わるルールはこれだけではないのです。

火災に対して強い、被害を拡大させないために、防火の規制もたくさん設けられているのです。

建物の室内に関わる内装制限や外壁・屋根など外装部分への規制です。

住宅でいうと、防火地域では木造3階建ては建てられませんし、準防火地域では、外壁や軒下、屋根等に一定の耐火性能を持った建物にしなければいけないルールになっています。

大阪市内や京都市内などは準防火地域ですし、郊外へ行くと準防火地域の指定がない法22条地域という比較的に規制が緩い地域が多くなります。

 

また、消防法の改正により全ての寝室、その寝室へつながる階段、キッチンなどに火災警報器の設置の義務化がされました。

これは家を建てて最後の検査となる完了検査時には設置の有無が検査対象となっているほど重要な工事となります。

 

地域住民独自のルールもある

基本的には建築基準法や市区町村などの条例を遵守した建物を建てていかなければなりませんが、その地域ごとで独自のルールを設けている地域があります。

その地域の土地の所有者や、建物の借主などが全員の合意で定める「建築協定」というものです。

これは建築基準法で締結が認められており、その地域で建物を建てる場合にはその「建築協定」を守らなければなりません。

協定の内容はその地域ごとに定めるもので一概には言えませんが、建物の用途や形、デザイン、設備などさまざまな範囲に及びます。

詳しくは土地探しを依頼している不動産屋さんなどに確認をとってみると良いでしょう。

 

建物の大きさも土地のルールに従う

建ぺい率と容積率

その土地にどれだけの大きさの建物を建てられるのかを定めたのが、建ぺい率と容積率です。

これは先ほどご紹介した用途地域によりその数値が定められています。

 

建ぺい率とは

建ぺい率とは、その土地に対する「建築面積」の割合を言います。

土地に対してどれだけ建物で占めているのか、真上から見た投影面積といえばイメージがわかりやすいかもしれません。

たとえば、120㎡の土地があったとします。

建ぺい率50%の用途地域だとしたら、60㎡まで土地に対して建物が覆った状態(=投影面積)まで建築が可能となります。

なお、建築面積とは、通常は1階の外周面積となりますが、2階部分が1階より張り出している場合は、張り出した部分をまっすぐ下に投影した部分が建築面積となります。

 

容積率とは

容積率とは、その土地面積に対する延床面積の割合です。

たとえば、120㎡の土地があったとします。

建ぺい率100%の用途地域だとしたら、120㎡までの延床面積の建物を建築することが可能となります。

 

建物の高さも土地に影響される

建物の高さも関しても自由にできるというわけではなく、一定のルールがあります。

これも知っておくことは非常に重要です。

3階建てを考えていたのに、2階建ての家しか建てられないということも知らないとありえるからです。

 

斜線制限・絶対高さ

絶対高さ

第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域のみに適用される規制です。

10mまたは12mの高さを超える建物を建てることはできません。

 

斜線制限

建物のつくる影が道路や隣家に大きくかかることのないよう建物の高さを制限するルール。

一定の規制によって想定された斜線に建物がかからないように設計することが求められる。

斜線制限は3つあり、「北側斜線」「道路斜線」「隣地斜線」となる。

 

3階建てを計画する時は要注意

3階建てを建てようと計画する場合には、土地を購入する段階で注意がいくつか必要です。

まず、そもそも3階建てが建てられるかどうかということです。

低層地域ですと3階建てがそもそも建てられない訳ですから、土地を買ってからいざ設計を依頼したら3階建てができないとなれば手遅れとなります。

また、防火地域では木造3階建ては認められませんし、道路幅が狭いと道路斜線制限により建物の間取りが制限されてしまう可能性もあります。

 

地下室は容積率が緩和される

地下室は、その床面積が延床面積の3分の1以内なら、地下室の床面積を延床面積に算入しなくて良いというルールがあります。

1階と2階で容積率を使い切ってしまっても、一定の要件を満たせば地下室は延床面積に算入しなくて建築できます。

たとえば、土地面積100%で容積率100%の地域だとした場合に、1階床面積50㎡、2階床面積50㎡だとすると、延床面積100%で容積率は100%使い切ってしまっていることになります。

本来であればこれ以上は延床面積を伸ばすことはできませんが、地下室として50㎡までは建築することができます(1階床面積+2階床面積+地下室床面積÷3)

 

ロフトも容積率が緩和される

ロフトとは、部屋の天井より上部の小屋裏部分を利用したスペースのことをいい、主に収納などに利用します。

ロフトも一定の条件を満たせば容積率の緩和を受けることができます。

条件は以下の3点となります。

・ロフトの床面積が直下階(2階建ての2階部分)の床面積の2分の1以下

・ロフトの天井高さは最高で1.4m

・固定階段ではないこと

以上の条件を満たすと、ロフト部分の床面積に関しては容積率の緩和を受けることができます。

 

道路と建築の基本ルール

道路と建物を建てる「建築」にも一定のルールがあります。

建築基準法では、土地は道路に2m以上接していなければなりません。

ですので、土地が奥まった箇所にある旗竿地などで通路部分に一部でも2m未満の場所があれば、その土地には建物を建築することはできないのです。

また、土地が面した道路は幅員が4m以上ないといけないのが基本ルールです。

 

セットバック

土地が道路幅員4mに満たない道路と接している場合は、家を建てることができないのかというと、一概にそうではありません。

幅員4mに満たない道路は、一般的にこのルールができた1950年以前から既に建物や道路が出来上がっていたことが多いのです。

こうした事情を考慮してそのような道路を「みなし道路」として呼び、家を新しく建てる時には、道路の中心部分から2m下がったところまで敷地を後退させることで、家を建てることを認めましょうというルールがあります。

これを「セットバック」といいます。

このセットバックした部分の土地は、あくまで所有権は自分にありますが、建物を建てたり、土地面積として建ぺい率や容積率などの計算に含めることはできません。

 

路地上敷地にもルールあり

道路から細い通路でつながった土地のことを路地上敷地、一般的には旗竿地と呼びます。

この路地上敷地にも当然に建物を建てることは可能です。

道路に2m以上接していれば問題ないのですが、一部地域ではこの通路部分の距離が一定以上の長さの場合は、道路に3m接していなければいけないと定めている地域もあります。

詳しくは土地探しをしている自治体や不動産業者に確認してもらうのがよいでしょう。

 

角地は建ぺい率が緩和される

2つの道路に挟まれた土地のことを「角地」と呼びます。

角地として認められた土地に関しては、建ぺい率が10%アップします。

たとえば、建ぺい率50%、容積率100%の土地があった場合に、その土地が角地であれば、建ぺい率60%、容積率100%になるということです。

重要なのは、建ぺい率は10%アップしますが、容積率は変わらないことに注意が必要です。