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パッシブファーストの住まいづくり【断熱編】

2017-09-08

パッシブファーストの住まいづくりと題して、快適、健康な温熱環境を実現する断熱設計の基本を知りましょう。

STEP1 断熱の必要性を知る

なぜ、住宅には断熱性能が求められるのでしょうか?

それは、断熱性能を高めることで、省エネルギー性能を高めるだけでなく、より快適な温熱環境も実現できるからなのです。

①体感温度の向上

人間が感じる体感温度は、室温と壁や床、天井、開口部などの表面温度の平均となります。

すなわち、室温と表面温度の差が大きいと、冬季は体感温度が低くなり、逆に夏季は体感温度が高くなります。

そのため、壁や床、天井、開口部の断熱性能を高めることで、表面温度を室温に近づけることで、体感温度を改善することができるのです。

<たとえば冬場をイメージしてみてください。>

断熱性能の低い家の場合、室温20℃、壁や開口部などの表面温度が10℃だったら、体感温度は15℃になります。

一方、断熱性能の高い家の場合、室温20℃、壁や開口部などの表面温度が18℃だったら、体感温度は19℃になります。

どちらがより快適かはすぐにイメージが付くと思います。

②ヒートショックの低減

冬季に暖房された温かい部屋から、暖房をしていない寒いトイレや脱衣室などへ移動すると、血管が急に収縮し、血圧の上昇を招くことがあります。

これをヒートショックといい、心筋梗塞や脳卒中の原因と指摘されています。

住宅の断熱性能を高めることで、部屋間の温度差を小さくすることができ、ヒートショックによる健康リスクを軽減することが可能なのです。

③健康改善

近畿大学建築学部の岩前研究室では、断熱性能が低い住宅から断熱性能が高い住宅に転居した方々を対象に、転居前後で健康状態がどのように変化したかを調査しました。

その結果、断熱性能が高い住宅に転居した方ほど、気管支炎やアトピー性皮膚炎などの症状の改善率が高まることがわかりました。

つまり、住宅の新築・リフォーム時に断熱性能を高めることで、同様の健康改善効果が期待できるのです。

 

STEP2 熱の伝わり方と断熱手法を知る

熱の伝わり方には3種類あり、それぞれのメカニズムと断熱手法の基本を知ることが重要です。

①伝導

「伝導」とは、物質を通して熱が伝わることを言います。熱は、温度が高いところから低いところへ、バケツリレーのように隣り合う物質が次々と熱を伝えていきます。

バケツリレーの途中に断熱材が入ると、熱の伝わりが制御されます。

住宅においても同様に、断熱されていないと、室内の熱は外へ逃げてしまいますが、断熱することにより、室内の熱を逃げにくくしているのです。

これが「断熱」の基本的な手法です。

②対流

「対流」とは、空気や液体などの流れによって熱が伝わることを言います。

対流は住宅の中でも起きていて、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降します。

冬季に窓付近の足元が寒いのも対流が発生することが原因です。これは開口部の断熱性能を高めることで抑制することができます。

③放射

「放射」とは、遠赤外線などの熱線によって熱が伝わることを言います。

例えば、住宅の屋根が太陽の日射によって暖められる現象も放射です。

日射によって熱くなった屋根の熱が伝導などによって天井に伝わり、暖まった天井から放射で人へ熱が伝わります。

そのため、天井裏などに高い断熱性能の断熱材を設置し、屋根の熱を天井へ伝えないようにすることが重要になります。

 

STEP3 断熱材や開口部の性能を知る

①断熱材

壁や天井、床などは断熱材を利用して断熱をおこないます。

さまざまな素材や性能の断熱材がありますが、住宅の仕様や目指す断熱性能のレベルに応じて選択するようにしましょう。

一般的に断熱性能は熱抵抗値(R値)で表します。

この値が大きいほど断熱性能が高くなります。

 

②開口部

開口部の断熱化も大切です。

躯体よりも開口部の面積は小さいのですが、冷暖房時に室内外で熱が移動する割合を見ると、圧倒的に開口部から熱が移動します。

そのため開口部の断熱化が重要になるのです。

なお、開口部の断熱性能は熱貫流率(U値)で表します。

この値が小さいほど断熱性能が高くなります。

 

STEP4 断熱材や開口部以外で注意する点

①気密性能の確保

壁や床、天井をしっかり断熱しても、隙間がたくさんあると、外の冷たい空気が「すきま風」となって室内に入り込み、快適性を損ねてしまいます。

この隙間の量を示す指標として「気密性能」があり、隙間が多いと気密性能が低くなります。

室内を快適にするためには断熱だけでなく、気密性能を高める配慮も必要となります。

 

 

 

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